長々と書いてきた乗車記録ブログですが、今回で最後となります。
■ウクライナ
ウクライナ南部の港町オデッサから西部の都市リヴィウまでを寝台列車で移動しました。オデッサまでの道のりについては前回の記事をどうぞ。
まずはオデッサ駅へ、予約してある今晩発の切符の引き換えに向かいます。時刻はお昼頃でしたがあいにくのお天気でモヤがかかっていて、少しおどろおどろしさがあります。
窓口で無事切符を引き換えることができました。リヴィウまでで229フリヴニャ(≒928円)。安いです。
荷物預かり所がプラットフォームの中にあるとのことなので行ってみます。
ホームの端に倉庫のようになっているスペースがあって、そこで荷物を預かってもらいます。荷物2点で54フリヴニャ(≒215円)でした。
荷物も預けたところでオデッサの街歩きです。駅前にはレトロな車体のトラムが走っていました。オデッサの街中にはトラム用の電線が走っています。
さてオデッサの街なのですが、コーカサス3国では結構見かけた野良犬が少なくてビビリな私には嬉しかったです。ただ、謎の言葉を叫んでる人がいたり明らかに何かの中毒っぽい挙動のおじさんが駅前を闊歩していたりと、あまり治安が良い印象を受けませんでした。夏場はバカンスの地として人気の街らしいので、季節が違えばまた違うのかもしれません。
とはいえオデッサには有名なポチョムキンの階段(実はよく知らない)等、観光する場所もあります。少しずつ天気も回復してきたのでカフェでテイクアウトしたおしゃれなコーヒー片手に散策を楽しみました。
夜になったので駅まで戻ります。発車まで少し時間があったので駅前のコーヒー店で一服して、帰りに列車で食べるサンドイッチをテイクアウト。
預けていた荷物を引き取ってホームへ行くと、青いボディに黄色いラインの列車が停まっていました。ウクライナの国旗カラーですね。
入り口で切符を見せて乗り込みます。今までに見なかった方向性にレトロな車内です。椅子が畳まれた状態になっているのも初体験です。
いい部屋ですね〜と眺めつつも、実はこの時前回の記事で書いた肌トラブルが最大級に悪化していて、体が赤くなってかゆくて痛くて仕方ない状態でした。バックパックを背負うだけで背中の皮膚がヒーヒー悲鳴をあげます。そしてこれまでは体だけだったのが、ついに顔まで症状が出始めていました。
ちなみに同じコンパートメントはウクライナ人男性1人でした。オデッサに家族と一緒に住んでいて、仕事でリヴィウの先の街までへ行くところらしいです。
列車は定刻21:17の2分前に発車しました。そういうパターンもあるのか。
検札がきたのでついでにリヴィウの到着時間を改めて確認して、ささっとベッドメイキング。もう慣れたものです。あとは夜のウクライナの車窓を楽しむ……なんて余裕はありません。もう景色を見るどころじゃないレベルで肌が痛痒くて、寝転がるだけで背中が!!いたーい!!!うわあああ〜〜〜!!!!!という感じ。もう耐えられない!と思い、リヴィウに着いたら絶対病院に行こう。と決めました。行くぞ病院。決めた。決めたぞ!!!!!という感じで無理やり眠りにつきました。
翌朝、目が覚めたら外はすでに明るくなっていました。わりとしっかり眠れましたが、起きてもなお、かゆい&痛い。
洗面台で顔を洗おうとしたのですが水が出なかったので、リネンと一緒に配られたタオルにペットボトル水を染み込ませて顔を拭きます。たっぷり水を吸い込ませたタオルを患部にあてると、少し楽になったような気になります。「かゆみから意識をそらすんだ・・・」と思い、Hey!Say!JUMPのアルバムを聴きながらグーグル翻訳で病院に持っていく症状を伝えるメモを作ってみました。再翻訳してみると意味不明な文章になっていたりと不安要素もありますが、そこは仕方ありません。補足として患部を示すイラストも入れてみました。そして「皮膚科」「clinic」「hospital」などのワードでオフラインマップで検索しまくります。
とにかく意識をそらすことに集中したら不思議と少しはマシになったような気はしました。いや、かゆいけども。
9時半過ぎ、リヴィウ駅には定刻に到着しました。オデッサ駅もそうでしたが、ウクライナの駅舎には地名ではなく「駅舎」を意味する「вокзала」という言葉が掲げてあります。
いつものことですが、駅は街の中心地から外れた場所にありました。市街地へ出るにはトラムで移動する必要があったので、駅前に停車していたトラムに乗り込んで「市街地へ行くトラムはどれですか?」と尋ねると英語のわかる人が周りに聞いてくれて、現地在住らしきご婦人が「9番だよ」と教えてくれました。
9番の乗り場を見つけてしばらく待っているとトラムがやってきたのですが、これが超満員。前方の運転手に乗車賃を渡す必要があるのに後方から乗り込んでしまい、東京の通勤ラッシュ並みのギュウギュウでとてもそこまで動けません。どうすればいいんだ!と思っていたら、同じく後ろの方に乗った人が前の人へお金を手渡してバケツリレーのように乗車賃を前方に送り出していました。そして今度は前方から乗車チケットが同じようにリレー形式で帰ってきます。すごいシステムです。私も乗車賃リレーに参加しましたしたが、これ途中で誰かが自分のものにしたりとか無いのでしょうか。善意を信じるシステムで成り立っているの、すごいです。
そんなこんなで無事に市街地まで到着。満員トラムから吐き出されるように下車しました。
目星をつけていたホテルへ向かいます。まだチェックイン開始前だったのですがご厚意で共有部分を使わせてくれました。そして皮膚科の情報を鬼サーチです。しかし見つかる情報は首都キエフのことばかりで、リヴィウの皮膚科情報になかなか着けません。
そこで病院は諦めて、トラムの中から街中に薬局がたくさんあるのは確認していたので薬局へ行くことに。ホテルのスタッフに列車で作成したメモを見せておすすめの薬局を聞いたら、ここから近い2店舗を教えてくれました。
さっそく現場まで行ってみると、1つはいかにも頼りになりそうな歴史ある雰囲気の薬局。なかなか混んでるので評判の良い薬局なのかもしれません。一応もう1つの薬局も行ってみたら、こちらはドラッグストアのような現代的な雰囲気。どうしようかなと思っているとすぐにスタッフが声をかけてきたので例のメモを見せるとササっと塗り薬と飲み薬が処方されました。パッケージに虫の絵があったので、虫刺されではないぞ?とどうにか伝えようと荒れた首元をチラッと見せたりするも、「おkおk!大丈夫!」という感じ。それならば…とお会計。合わせて134フリヴニャ(≒534円)。
飲み薬の飲み方はメモに書いてもらい、あとでホテルのスタッフさんに翻訳してもらったところ1日1錠とのこと。空腹時とか満腹時とかは分からなかったので、勘で満腹のときに飲むことに。
で、この塗り薬がめちゃめちゃ効きました。
塗ってわりとすぐに痒み&痛みが穏やかになりました。一体なにが入っているんだろう。強力なステロイドとかだろうか…。とはいえ効果は抜群だったので、リヴィウを離れる前に塗り薬のほうはおかわりしてしまいました。
残念ながら寝台列車の記憶はほぼありませんが、肌トラブルも落ち着いてハッピー気分でリヴィウの街を楽しむことができました。リヴィウは可愛らしい街並みを楽しめるし、何よりご飯が美味しい!本場のボルシチ最高でした。物価も安いので旅行には良い街だと思います。そして頼れる薬局もあります。
(コーカサス編から繋がりのある話はここまでになります。)
■ポーランド
オシフィエンチムはポーランド南部にある都市です。オシフィエンチムをドイツ語読みするとアウシュヴィッツとなります。その名から分かる通り、アウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所に一番近い駅がこのオシフィエンチム駅です。強制収容所を見学した後、宿のあるクラクフまで鉄道を利用して帰りました。
ビルケナウ強制収容所を見学後、オシフィエンチム駅まで歩きました。道路の横には駅から収容所への引込み線が伸びています。現在は途中で途切れていますが、かつてはオシフィエンチム駅から収容所内までが繋がっており、収容された人々を死の門へと運んでいたそうです。私はこれから列車に乗って帰ることができますが、それが叶わなかった大勢の人たちのことを考えてしまいます。
15分ほど歩いて、オシフィエンチム駅に着きました。駅舎は大きいですが、チケットカウンターも待合室もこぢんまりとしていて田舎の駅という佇まいです。
窓口は空いていたので、クラクフ行きの切符をすんなりと購入することができました。料金9PLN(≒258円)。途中トシェビニャ駅で乗り換えがあり、2時間ほどの旅です。やることもないのでホームへ出てみると、石炭をたんまり積んだ列車が停まっています。これはなかなか日本じゃ見れないですね。
列車が来ていたので乗ります。なかなかのレトロ車輌です!
シートは古いもののクッション性があってなかなか快適です。私以外に全然乗客がいなかったので、写真をたくさん撮ってみました。
発車するとしばらく開けた場所を走ってから森林の中に突入しました。間近に木々が迫る車窓はこの旅では初めてかもしれません。
トシェビニャ駅に到着です。ここで乗り換えるのですが、ホーム上ではなく線路に直接降ります。そしてなんと皆で線路を横断して乗り換えホームへ!そんなのありなの?!と衝撃を受けましたが、郷に入っては郷に従えということでドキドキしながら私も横断します。
しばらくホームで待っていると乗り換えの列車がやってきました。驚くほどピカピカの車輌です。
ピカピカの列車に揺られて、遅れなくクラクフ中央駅に到着しました。
レトロな列車は味があって素敵だったし、森林の中を走行する列車も初めてだったので嬉しかったです。そしてグルジアもそうでしたが、区間によって車輌のランクに違いがありすぎると少し面白いです。一気にタイムスリップするような感じで。
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以上、これまで乗ったいろんな国の鉄道乗車記録でした。かなり長くなってしまいましたが読んでくださった方、本当にありがとうございました。そしてお疲れ様でした。
この他に中国とフランスでも鉄道を利用していますが、その紹介はそれぞれの記事に任せます。
またいつか海外旅行に行けるようになって「その6」を書けるその日まで、さようなら〜。