4日目 ピンフータン
この日はAちゃんCくんと美術館へ行きました。Bくんは家で寝ているとのこと。
李自健という湖南省出身の著名な画家の絵を扱う美術館らしい。展示された絵は人物画も風景画も素晴らしかったのだけど、入ってすぐの場所に抗日映画のワンシーンのような超巨大な絵があって、3人で「おっ…」という空気になってしまいました。家族で映画を見ていたら濡れ場が流れたときのような気まずさ。中国を旅行しているとこういう居心地の悪さは避けられない気がします。
李さんの絵も良かったのですが、それ以上に印象に残ったのは別館で行われていた児童が描いた絵の展覧会でした。
撮影可だったのでいくつか撮らせてもらいました。特にこのクマの絵、ずんぐりしていて可愛らしくて印象に残っています。首元の立体的な飾りも素敵ですね。題材は「お気に入りのセーターを着たクマ」だそうです。なんと作者は5歳とのこと。すごい。
美術館の後は日系スーパーへ向かいました。今日の夕飯は私が3人にご飯を振る舞うことになっていているからです。
来月の開業に向けて改装工事中の民宿では基本的に何の業務も発生しないため、3人とも(見たところは)悠々自適に過ごしています。私が手伝いできる仕事も調理補佐や皿洗い程度しか発生せず、そのどちらも気遣い屋のCくんによって断固阻止されてしまいます。あまりに世話になりっぱなしなのを気にしていたところ、Aちゃんから「じゃあ明日の夜ご飯は何か作って!」との提案がありました。
わたしはなかなか料理スキルが低いので自分主体で人様が口にする料理を作るのは結構怖かったのですがここまでお世話になっている身で断るわけにもいかず、肉じゃがならなんとか作れるんじゃないか…ということで、その買い出しです。
「ping he tang(ピン フー タン)へ行くよ。知ってるでしょ?」と言われて、ピン フー タン?なんだろうか…と思ったのですが、着いてみたらここでした。
「平ping和he堂tang」!なるほど。あのイトーヨーカドーっぽいロゴマークのお店です。調べたところ、本社がある滋賀県と湖南省が友好協定を結んでいる縁で長沙にも出店しているそうです。
売り場はさながら日本のスーパーだったのですが、味噌と出汁を見つけることができず…。麺つゆはゲットできたので味付けはどうにかできそうです。
民宿に帰って早速肉じゃが作りです。
中華鍋で肉じゃがを作るのは初体験です。
意外と良い感じに作ることができました。
味噌汁も作りたかったのですが味噌が無いので仕方なく麺つゆでスープを作りました。ツナと玉ねぎが入ったスープです。味つけどっちも麺つゆやんけ!という感じですが、ツナが入ると意外と味が変わってなんか別物っぽくなりましたよ!麺つゆ様様です。
口に合わなかったらどうしよう〜と不安でしたが、完食してもらえました。よかったです。
5日目 デリバリーザリガニ
この日は朝ごはんにAちゃんがカレーを作ってくれました。朝といっても、ここの住人たちは大抵昼前に起きてくるのでほぼお昼ごはんになるのですが。馴染みのある日本式の味付けのカレーでとっても美味しかったです。Aちゃんは料理人というだけあって本当に料理が上手。
食後は洗濯機を借りて、溜まっていた洗濯物を片付けます。洗濯物を干しているとベランダからも情緒のある街並みが見えて心が弾みました。その後はスタバで仕事。スコーンは司康(si kang)と言うことを知りました。こういう外来語由来の中国語って思わぬ当て字があって面白いです。
宿に帰るとAちゃんが「夜はザリガニにするよ!」というので、てっきり市場にザリガニを買いに行くのだと思ったら、デリバリーで購入済みとのこと。しばらくしてウーバーイーツ的なリュックの配達員が現れて、生きたザリガニがたっぷり入った袋を置いておきました。まさか生きてるザリガニまでボタンひとつで注文できてしまうとは!
ザリガニは前に知人宅で一度だけ食べたことがあったのでわりとスムーズに食べることができました。身が少し大ぶりで食べ応えバッチリです。
食後はAちゃん&Cくんと音楽オーディション番組を視聴。Bくんは例によってゴロ寝していて不参加です。
番組に出場しているバンドの○○がカッコいいだとかそんな話から、中国のおすすめイケメン有名人をレクチャーしてもらいました。Aちゃんは元赤西担なだけあって(?)なかなかのイケメン好きだし、Cくんはゲイで同じくイケメン好きです。Cくんとは初日にwe chat(中国版LINE)の連絡先を交換したのですが、登録名に「アイコンは自分の大切な人」と中国語で書かれていてアイコンが可愛い女の子だったので「この子彼女なの?」と野暮なことを聞いたら「この子は親友で、自分はゲイだから彼女はいないよ」とのことでした。(こんな風に自分自身ではないアイコンや名前に設定している人は結構いる。)
「この人は仁に少し似てる」「この人は我的老公(自分の旦那)だからね!」「中国の芸能人って美形ばっかりだな!!」とかってワーワー盛り上がって楽しかったです。
Cくんが出かけて行ったので、その後はAちゃんと引き続き雑談しながら翌朝の朝食用にワンタンを包みました。話題は主に「結婚」「人生設計」。お互いアラサーなので話が弾みました。ふふふ…。
ワンタンを包むのは初体験だったのですが、コツを掴むとなかなか楽しいですね。
夢中でワンタンを作っていたら1時を回っていたので、そそくさと布団に入りました。
6日目 内陸の離島
本日の遅めの朝食は昨日の夜作ったワンタンを使ってワンタンスープ。やさしい味でとても美味しかったです。
この日はAちゃんから「連れて行きたいお店がある!」と前から言われていていたお店に2人で向かいました。街の中心地から少し離れた場所にある小さなカフェ「離島」です。
湖南省があるのは内陸部ですが、街の外れにこぢんまり佇むこのカフェはまさに「離島」という感じです。喧騒を忘れるっていうんでしょうか。本当にそんな感じです。
Aちゃんはこのお店のファンで何度も通っているうちに店主の女性と親しくなったらしく、カウンターに通してもらい少しお話ししました。店主さんは日本好きで3回も日本に行ったことがあるそうで、カウンターの上には日本語で書かれた「カレーバイブル」なるカレーの専門書なども置いてありました。
そしてここのケーキが、本当に!本当に!本当〜〜〜に美味しかったんです。ぜひ長沙へ行った際は食べていただきたいです。
まずはこのフワッフワのパンケーキ!ふわっふわっ!です。かかっているソースの甘さも丁度よくペロリと食べれてしまいます。
しかし何よりもお伝えしたいのが、これ!
泥芋蛋糕こと、タロイモのケーキです。これがもうハチャメチャに美味しかったです。タロイモのケーキは初めて食べたのですが衝撃的な美味しさでした。なんと形容すればいいのか分からないのですが、控えめの甘さと独特のモッタリ感が絶妙で信じられないくらい美味しかったです。離島に行ったら絶対に食べてほしいです。
せっかくなので素敵な店内の写真をいくつか載せておきます。
美味しいケーキとコーヒーで腹を満たしたあとは、民宿で使う日用品を買いに行くということでコストコのような感じのお店へ。
生鮮食品も取り扱っていたのですが、お肉売り場が入り口でコートを借りて入るような巨大な冷蔵庫スタイルで極寒でした。海外の大きいスーパーだとよくあるのでしょうか。
夜ごはんはコストコっぽい店で仕入れたチキンをAちゃんが調理してくれました。このクオリティの料理をテキパキ作るから本当にすごいです。「逆に作れないものとかあるの!?」と尋ねると「笑わせるな、私に作れない料理など無い」とのこと。
食後、やることもないしAちゃん&Cくんと近所の居酒屋でも行くことに。Bくんは相変わらず部屋で寝ています。
立派な陶器の壺に入ったお酒をお皿のような浅いお猪口?に入れて飲みます。細かいことは分からないのですが地元のお酒らしく、軽い口当たりで美味しいです。
湖南省は辛い料理が有名です。頼んだおつまみたちも心なしかピリ辛でした。
そんな中でも特に印象的だったのがコレ!※虫苦手な人は注意!
AちゃんかCくんが頼んだようで「これは何!?」と聞いても答えてはくれず、Aちゃんからは「どうぞ!どうぞ!」と知っている日本語でひたすら食べるよう勧められ…(Aちゃんは赤西担だっただけあってか、日本語の単語を結構知っている)。絶対なにかゲテモノじゃん!と思いつつも、えいや!と口に入れると、パリパリした外皮の中はモッタリとした食感。味はあまりしません。
「結局何なのさ?」と問うと、「蚕」とのこと。ひえぇ〜〜。思わず「蚕食べるの!?」と反応すると「そうだよ〜。中国人はな〜んでも食べるのさ」と言われました。食の大国おそるべしです。
正直決して美味しくはなかったのですが、その後も「どうぞ!どうぞ!」の攻撃が止まなかったので意地で食べ切りました。すごいぜ中国の食文化。
その3に続きます。