生活的答案

旅行記録ブログ

長沙の夏休み日記 その3(終)

7日目 火鍋と喧嘩

家主たちと同じように私も昼前までグースカ。夜型人間なのでありがたいです。

今日のブランチはAちゃんがトマト卵炒めと青菜炒めを作ってくれました。これがまた絶品でした。何作っても美味しいんだからもう。フランベするみたいに火をブワーーーっとしながら作る様子を見て、中華は火力が命というのを感じます。

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美味しさが伝わりづらい写真

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火力がすごい

 

日中はゆっくり過ごしました。昼寝をしたら今井翼のコンサートに間に合わなくて焦る夢を見ました。なぜ?

 

夕方になり、Aちゃん&Cくんと火鍋を食べに出かけます。Bくんは相変わらず部屋で寝てます。

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長沙の繁華街は今日も賑やか

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おいしい火鍋とCくん

食べログ的なサイトで高評価のお店へ行ったのですが、口コミ通りとっても美味しかったです。苦手な羊肉もそれなりに食べることができました。飲み物は乳飲料のようなものを頼んだのですが、辛い火鍋と意外と合いますね〜。


帰り道、Aちゃんが「Bくんの夜ご飯をテイクアウトしてくる」とお店に入っていったので、店の外でCくんと雑談してしばし待ちます。話の流れで「AちゃんとBくん今回はなんで喧嘩したの?」と聞くと「分からないけど心配しなくて大丈夫だよ」と返されました。

回数が多すぎて日記に書くのは省略していたのですがA&Bはしょっちゅう喧嘩をします。よくあるパターンは食事中、たったさっきまで普通に話していたのにいつの間にかバチバチモードに入っていて、気付いたら喧嘩が始まっています。ワーワー騒ぐだけで終わることもありますが、大抵の場合Bくんが「知らん!俺は部屋に戻るぞ!」とへそを曲げて部屋に引きこもります(だからBくんはだいたい部屋にいる)。

Aちゃんはフン!と言いながらもBくんのことを気にかけているようで、こうしてお腹を空かせているであろうBくんに夜ご飯を買って帰ってあげたりするわけです。そんな風にしょっちゅう喧嘩してすぐ仲直りを繰り返しているから「夫婦みたいだね、もう結婚しちゃいなよ!」等と周囲からよく言われるそうですが、あくまでビジネスパートナーとのこと。喧嘩は大変そうですが、まあうまくやっているようです。

 

民宿に戻ると、「○○(私)が仕事用に持ってきているパソコンで民宿で使うメニュー表を作ることはできるか?」と頼まれたので制作に取り掛かりました。こんな感じでどうだろうかと作ったものを見せていると経営者としてチェックすべくBくんもやってきて、そこでやっとゆっくり話すことができました。気難しいところもあるけれど話してみると意外と笑顔を見せてくれます。とにかく初日ぶりにまともに話せて良かったです。

 

 

8日目 カラオケ

今日も今日とてお昼前に起きて、ブランチです。珍しくBくんも含めた4人で湖南(長沙)料理を食べにいきました。湖南料理といえば一説では四川料理以上の辛さを誇るとも言われている激辛料理です。辛い料理は結構好きなのでワクワクしながらお店へ向かいます。

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湖南料理

唐辛子の輪切りやソースがトッピングされたビジュアル通り、しっかり辛さがあります。それと同じくらいしょっぱさと酸っぱさも感じられて、なかなか濃い目の味付けです。調べたところによると一緒に白米を食べることを前提としての濃い目の味付けのようです。なるほど。

 

午後はまたも1人でスタバへ。チョコマフィンを食べました。本当に食べたものの話ばかりで、なんだかすみません。

 

 

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メインはゴーヤのスープ

夜ご飯は今日もAちゃんが作ってくれました。右側の鍋の中身はゴーヤのスープで、これがとっても美味しかったです。ゴーヤってこういう食べ方もあるんだなあ。

ところでAちゃんはいつも大量の料理を手際よく作りますが、いかんせん量が多いので食べきれないことも多々あります。そんなときAちゃんは「あとで食べる用にとっておこう」とはせずに、全部容赦無く捨てます。納得のいく味・ビジュアルの料理を毎食ちゃんと作って、温かいうちに食べて、美味しかったね!じゃ、次!という感じで次の食事はイチから作ります。

私なんかはつい「もったいない〜!」と思ってしまうのですが、これが食を愛する料理人で美食家のAちゃんのスタイルなのだろうな〜とも思います。そもそも食事の位置づけ自体が、生活のための食事とは異なるというか。

 

 

夜ご飯も食べて後はゆっくりして…で、今日は終わりません。なんと今夜は4人で夜の街へ繰り出します。タクシーに乗り込んで、向かう先はカラオケです。以前音楽オーディション番組を見ていた時にカラオケの話題になり、私が上海に帰る前に行こう!という話になっていたのです。

 

到着したカラオケ店はキラキラギラギラしていました。以前行った上海のカラオケ店もこんな感じでした。壁や装飾がいちいちゴージャスでキラキラしていて、日本のカラオケチェーンよりも夜の匂いが強いです。

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カラオケの画面に社会主義核心価値観

部屋に入ると、モニターにはDAMチャンネルをご覧のみなさん〜!の映像の代わりに、中国共産党が提唱するスローガン「社会主義核心価値観」が映し出されていました。ぬかりないです。

 

中国語の曲にも挑戦してみたのですがなかなか難しく、今夜は日本語の歌で攻めることにしました。せっかく元赤西&akame担のAちゃんがいるので、KAT-TUN修二と彰赤西仁…と狙いまくりのラインナップを熱唱です。

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青春アミーゴを歌う

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デンモク的なもの。日本の歌もけっこう網羅されている


他にも中国でもドラえもん映画は人気なので、秦基博ひまわりの約束なんかは皆んな知っていてなかなか盛り上がりました。ちなみに邦楽の映像や音源はMVや歌番組から勝手に引っ張ってきているものが多く、めちゃくちゃ非公式です。

 

Aちゃんは歌がとても上手で英語の曲も見事に歌い上げるのでつい聴き入ってしまいます。

CくんがKiroroの「未来へ」の中国語verを入れていたのですが、タイトルが「后来(読み:ホウライ/意味:それから)」になっていて、サビの「ほ〜ぉら〜」と掛かっているのがウマイ!と思いました。そして以前上海で行ったカラオケでも思ったのですが、中国人とカラオケに行くと若い人でもアゲアゲな曲よりは少ししんみりした歌謡曲的な曲を歌いがちな気がします。

 

Bくんは歌わずに聴く専という感じです。途中から部屋に置いてあるサイコロを使ったゲームをレクチャーしてもらいました。吹牛(チュイニュー)というサイコロの目を当てるゲームで、細かいルールはもう忘れてしまったのですが面白かったです。中国のカラオケではポピュラーな飲み会ゲームらしいです。

 

そんな感じでカラオケを楽しんでいたのですが、私が歌っているタイミングで突然Aちゃんが泣き出しました。何か辛いことでもあったのか、それともこの曲で何か思い出すことでもあったのか。とにかく涙が止まらないようでCくんだけでなく普段ぶっきらぼうなBくんまで大丈夫かと心配しています。私もティッシュを差し出したのですが「大丈夫だから気にせず歌って」と言われてしまい、それならば…とケアはB&Cくんに任せて引き続き赤西くんのムラサキを歌い続けました。歌い終わる頃にはケロっと元気になっていたのでそれ以上の心配はしませんでしたが、いつも喧嘩ばっかりなBくんもこういう時は心配してあげたり、優しいとこあるジャン!ナイスコンビ!等と余計なことを考えました。

 

そうこうしているうちに朝になっていました。

突然ですが、いつだったか民宿で食事中にAちゃんが流していたこの曲が好きです。パーティーが終わってしまって、寂しくてソワソワする感覚がスッと入ってきます。我々も帰る時間です。

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薄明るくなった街をタクシーの中からボケ〜っと眺めます。夜通し遊ぶだなんて、本当に何年ぶりだっただろうか…。

 

 

9日目 近隣住民に気づかれるな!ドキドキゴミ回収

日記を読んでくださっている皆様は「こいつ、いつまで長沙にいる気だ」とお思いかもしれませんが、安心してください。明日帰ります。最初は3日程度で帰るつもりだったので「え!まだ帰らないでよ!」「もっと居れるでしょ!?」と言われると、つい「ではもう少し…」と甘え続けてしまい…。

でも帰国の準備もあるので、そろそろ上海に帰らねばなりません。

 

というわけで長沙で遊べる最終日。Aちゃんがお皿を買いに雑貨屋さんへ行きたいと言うのでお供しました。

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雑貨屋さん「下午好室」

店内の写真はないのですが、落ち着いた雰囲気の雑貨屋さんです。前回の記事に登場したカフェ「離島」に近いテイストで、こちらの店主も日本好きだそうで日本語が話せる方でした。素敵な食器やバッグが売っていましたよ〜。

 

雑貨を見たあとはAちゃんイチオシのカフェへ。

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すてきなカフェ

店名は失念してしまったのですが、こちらもおしゃれな内装の素敵なカフェ。長沙には素敵なお店が多いです。

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おしゃれだ

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ケーキもおいしい

おしゃれなものを見て「おしゃれだなあ」しか言えなくて申し訳ないです。窓際の陽が入る席で優雅にお茶を楽しみました。写真に写っているかぼちゃのケーキ、とっても美味しかったです。

 

 

お茶を楽しんだあとは、これまたAちゃんオススメのパン屋さんへ向かいます。

向かう道中「あのパン屋はすごく奇怪だ」と言っていて、どういうことだ?と思っていたら、到着したのはパン屋ではなくビジネスホテル。その中にパン屋があるとのことで「1階のテナントがパン屋なのかな?」と思いきや、1階は普通のフロントとロビー。Aちゃんに連れられて奥にあるエレベーターに乗って5階を押します。そして5階の突き当たりに、そのパン屋はありました。

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普通のビジネスホテル

廊下を進んでいくと…

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パン屋発見

確かにありました。ビジネスホテルの中にひっそりと店を構えるパン屋「仙峰面包」です。

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「仙峰面包」

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店内の様子

一歩中に入ると紛れもないパン屋さんでした。オシャレ。普通のビジネスホテルの中でここだけ異空間で不思議な感じ。

明日列車の中で食べる用にと、Aちゃんが2つも買ってくれました。ありがとう。やや硬めのハード系のパンで食べ応えがありました。

 

 

今夜は最後の晩餐です。またしてもAちゃんが腕を振るってくれて、サムゲタン的なスープとルーローハン。美味しくいただきました。

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最後の晩餐

 

 

最終日の夜ですが、今夜の民宿にはミッションが残されていました。廃材ゴミ回収です。Bくんは今日も寝ているのでAちゃん、Cくん、私の3人で挑みます。

絶賛改装工事中の民宿では日々それなりの量の廃材のゴミが出るので、それらを軒先にまとめて置いて業者にまとめて引き取ってもらうのです。軒先にはすでに畳1畳分くらいのスペースに廃材が積み重ねてあります。

どういうシステムなのか日中ではなく深夜だと格安料金でお願いできるらしく、業者がやってくるのはなんと午前1時。そこで気にしなければいけないのが近隣住民たちです。「その1」で書いた通りこの民宿は彼らから目をつけられており、実は昨日も乗り込まれてBくんと派手にバトったばかりでした。深夜に派手な物音なんか立てた日には更なるヘイトを買うこと必至です。

そして午前1時……回収業者の人達がやってきました!大きな台車と一緒に。そりゃ廃材を持っていくのだから台車は必要なのですが、この地区の路は石畳なので音がすごい。民宿は車が入ってこれない坂道の上にあるので、道路につけてあるトラックまで台車が行き来する度にゴロゴロゴロ〜〜〜と派手な音を立てます。これはご近所にバレたら大惨事だ!!ということで、坂道を登る台車の音が近づいてきたら部屋の灯りを消して「我々はもう寝てますよ~。なんか物音がしても、ウチじゃないですからね~」としらばっくれるスタイルでゴミ回収を見守ることになりました。台車の音が遠ざかったらまた灯りを付けて、近づいたら消して…を繰り返します。

最初はヒヤヒヤしながら息を潜めていたのに、Cくんは半裸で来た回収業者の男性を見て「良い腹筋すぎてヤバい♡」とか言ってはしゃぐし、Aちゃんは「万が一バレたときは○○(私)が外に出て日本語を喋ってあいつらを混乱させろ!」とか言い出すし、途中から「我々は一体何をやっているんだ?」と可笑しくなってしまいました。

そんな風に息を潜めながらワーキャー言っている間に無事にゴミの回収は完了し、長沙滞在最後の夜は無事に過ぎていきました…。

 

 

10日目 じゃあね!とその後

いよいよ上海に帰る日が来ました。荷物を詰めて、そろそろ出発することを告げると「じゃあ、これ持っていって!」とホーローのカップを手渡されました。民宿のロビーに置いてあった年代物の茶器セット中の1つです。私が1つ持ち帰ったらセットに欠員が出てしまうし受け取れないと伝えたのですが、「いいから!古いカップだけど○○(私)のためにしっかり洗っておいたから、これで飲み物飲んでも大丈夫だよ!」とまで言ってもらったので、有り難く受け取ることにしました。

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ホーローカップ

民宿の玄関でAちゃんとCくんが見送ってくれました。Bくんは多分寝てます。

「お世話になりました。またいつかね!再見!」と挨拶すると、Aちゃんが日本語で「じゃね!!✋」と返してくれてニュアンスのズレにちょっとくすっときてしまったのですが、さよなら、またね、とかよりも力強い「じゃあね!!」がAちゃんには似合っているかもしれないな〜と思いました。

 

 

上海に戻ってから数日後、私は日本に帰国。翌8月には民宿も無事にオープンしました。

歴史的な地区にあるおしゃれな民宿として評判も上々だったようですがそれから4ヶ月後、長沙がある湖南省の隣の湖北省武漢から謎の肺炎こと新型コロナウイルスが広まりました。Aちゃんたちの民宿も警察から営業停止の指示が入って家賃だけ払い続ける日々が続き、そのまま数ヶ月で閉業となってしまいました。ほんの数ヶ月の営業では開業に当てたお金は当然回収できておらず、南寧に戻ったAちゃんは元々経営しているレストラン+バイトを掛け持ちして、しばらくの間必死に赤字分の補填に走っていたようです。少しの時間ではありますが民宿開業までの頑張りを見ていた身として、胸がぎゅっとなる悲しみを感じました。

しかし、ここで転んだままでいるAちゃんではありません。少しずつ資金を回収して、なんと南寧に新たなレストランを開業しました。送ってもらったお店の写真を見る限り長沙の民宿と同じようなレトロ風のインテリアの内装で、スタッフとして働くCくんの姿もありました。そして写り込んだ店の看板に刻まれた店名が長沙の民宿と同じ名前なことに気が付いて、逞しさと懐かしさにニヤリとさせられました。

 

Aちゃんから貰ったフタのついたホーローカップは部屋の机の上に大事に飾ってあります。調べたところによると、こういう形状のホーローカップというのは一昔前までは中国の列車旅の必須アイテムで、席を確保したあとはこのカップにお茶を入れて楽しんでいたそうです。これより大きいサイズのものであれば、インスタント麺を作るのに使ったり…。鉄道旅行好きとしては大変心躍る話です。またいつか海外旅行ができる日が来たら、このカップを持って鉄道旅に出て、Aちゃんたちに会いに行けたらな〜と思います。

 

 

おしまい